RETINA la
レチナ la




レチナ la   1a(015)
 西ドイツ イーストマン・コダック社 1951〜1954
 フォーマット 24*36 135フィルム
 レンズ レチナ・クセナー (シュナイダーOEM) 50mm f2.8〜16 直線ヘリコイド
 シャッター  シンクロ・コンパー B 1〜500 M・X接点
 レバー巻上げ・セルフコッキング・二重露光防止(解除可能)・枚数計手動セット(逆算式)  510g
 レンズ位置により前蓋が当たることを防止するロックつき(無限遠付近でしか折り畳みボタンが押せない)


イーストマン・コダックの誇るレチナシリーズの一つです。
 距離計連動のlla・llc・lllcなどのシリーズの方が日本では馴染みが深いようです。laはそれらの基本設計を担った機種です。距離計連動機能が省略されています。日本のメーカーはほとんどの機種に距離計を組み込みましたが、ドイツでは目測機が沢山作られています。
 距離調整はアグファ・カラートと同様シャッターごと移動する直進ヘリコイドを採用しています。前玉回転式に比べ、レンズの攻勢が変化しないので、各距離においての描写に差が出ないとされています。
 金属ボデイのガッチリしたものですから大きさの割りに重いものです。
 スプリングカメラは折り畳めるので上着のポケットに納めて出かけられます。35mmは勿論、セミ判や6*6の物でもポケットに納まります。昔は山に行く人がスプリングカメラを良く使いました。
 レンズもクセナー・エクター(USAコダック製)があります。今では数の少ないエクターつきのほうが高価になっているようです。2aあたりからシュナイダーのレンズがレチナークセノンになります。

 当時としては新式のレバー巻上げがあるので、速写性に優れています。
 レチナにはこのスプリングカメラの他に普通のレンズシャッターのものとレンズシャッター一眼レフがあります。こうしたシリーズの中ではスプリングカメラのレチナが一番レチナらしいとされ、評価も高いものです。
 シャッター周りの下に見えるものが距離調節レバーで距離計連動式と変わりません。
 レチナの番号の後ろにあるアルファベットは(a)はレバーが普通のように上にあるもの、(b)は底に付いているもの、(c)は露出計内蔵を意味します。
 レチナシリーズは戦前からの長い製品ですから、シャッターもコンパー・コンパーラピッド・シンクロコンパーと変化し、レンズもコーティングの無いものからあるものまで存在します。よく調べて買ったほうが良いのがレチナシリーズです。一番新しいシンクロコンパーに時代になるとコーティングも付いています。
 レチナはこの時代のドイツのカメラにしては珍しく、ストラップ用の金具がついています。ほとんどのカメラがケース無しでは持ち運べない時代のものでは、このレチナシリーズはありがたいものです。それだけでも売れる理由になるでしょうね。
 レチナシリーズの一番良い形はこの1a型に距離計連動機能だけ付けたllaが一番良いと思います。それ以降はボディが大きくなり、スプリングカメラのよさを若干損ねています。

 裏蓋を明けると日本のカメラのほとんどが採用しているスプロケットの配列で、何となく安心します。巻き取り軸のすぐ横にあるタイプです。VITOの巻き戻し側、KARATの中央部片方などは見慣れない配置です。
 フィルム装填は普通どおりですが、カウンターが逆算式でおまけに0になると巻上げが出来なくなるので、結構違和感を感じます。普段からカウンターは目安で巻上げが止まるまでフィルムを使うクセがあるからです。止まっても、カウンターを0でないところにすれば巻上げが出来るようにはなります。日本では逆算メータの方が少なかったものです。
 フィルム・インジケータが付いていますがコダックフィルムの製品名になっていて使いよいものではないです。これはフィルムメーカーのカメラに多い方式です。『うちのフィルムを使え・・・』と言うことです。フィルムの名前は不滅ではないですから・・・

目測式は不利か?
 スナップショットでは距離計などは使えませんから、このlaで充分だともいえます。昼間のf11とかの条件下での50mmレンズの被写界深度は結構広いものです。昔は3mと5mか8mの常焦点マークがありこれで充分役に立って居たのです。ゾーンフォーカスということです。距離計は結構狂い良いものです。単独距離計は調整しよいですが内蔵連動距離計は難しいものです。狂った距離計がなまじ存在すると気になるものです。必要な時に正確な単極距離計を使えば充分だと、私は思っています。慣れれば無くてもピンボケの率は低いものです。

よく揃う駒間隔

 このレチナは非常に駒間隔が良く揃います。当時の35mmカメラはまだ駒間隔が制御しきれていないものが多く、揃う方が目zyらしい時代ですが、レチナは良く揃っています。自分で暗室作業をするものにとっては非常にありがたいことです。このことは巻上げ機構の精度が非常によいということです。

      レチナ2cへ   3cへ

 レチナシリーズは外観は同じに見えて、レンズやシャッターの組み合わせで型番が変って来ます。 私の物は1aのなかで015と番号がつけられたものです。
 このように複雑なレチナシリーズの見分け方などの資料は の中のコダック・レチナ一覧にあります。参考にしてください。

35mmスプリングカメラの代表機種

 120フィルムのスプリングカメラの流れを受けて、35mm時代に入ってもドイツではスプリングカメラが作られました。各社で各種作られましたが代表的なものだけ揚げて置きます。

ツァイス コンテッサ(CONTESSA) テッサー
ノバー
独特のドレイカイル式距離計をもった最高級スプリングカメラ、同じ名前でもっと簡単な物もあります。ドイツのカメラは名前だけでは非常に区別しにくいのです。
これが揃えば代表的35mmスプリングカメラは一応揃いますが、非常に高価です。
フォクトレンダー ビトー(VITO)
ビテッサ(VITESSA)
スコパー
カラースコパー
ノクトン
ビテッサは観音開きの扉を持つ独創的なスプリングカメラでT型になりレンズ交換式となり蛇腹をやめました。
 ビトーは中級機としてよく売れたようです。
イーストマン・コダック レチナ(RETINA) 1a
           2c

            3c
クセナー
クセノン
(エクター)
ヘリゴン
35mmスプリングカメラでは圧倒的シェアを誇ったものです。戦前から戦後まで基本的には基本的には同じスタイルで作られています。戦後型1・2・3を解説しています。
アグファ カラート(KARAT) クセナー
ゾリナー
ヘリゴン
アグファーが作った意欲的な35mmスプリングカメラです。ファインダーの形がユニークです。
バルダ バルデッサ(BALDESSA)・
バルディネッテ(BALDINETTE)
バルダナー バルダ社の作った35mmスプリングカメラで高級品まで色々作りましたが。バルダ社の勢いがなくなる次代のものです。
アルコ アルコ35 日本製の35mmスプリングカメラです。きれいな形と、外付けの円筒型ファインダーなどマニアの心をくすぐるものでしたが、販売台数は多くありません。

ビトー2・レチナ1a・カラート三種の実物比較はここが違う有名三種にあります。