Voigtlandar Vito  U

フォクトレンダー・ビトー2

 ビトー/ヴィトー/フィトー
 フォクトレンダー社 ドイツ 1949年発売・・この型は1955年式
 フォーマット 135フィルム 24*36
 レンズ  カラー スコパー  Color Skopar 50mm f3.5
 フィルターサイズ  29mmカブセ式 push-on
 シャッター プロンターSVS
 Prontar SVS B 1〜300
 フィルム巻上げ ノブ式  フィルムカウンター手動リセット順算式  430g

 35mmスプリングカメラのスタンダードの一つです。なんと言ってもコダックのレチナが知名度、販売数共にダントツですがこちらにも根強いファンがあります。2Aになるとレバー巻上げが入りますがここまでは昔ながらのノブ式です。しかし、ノブは軽く指の腹でこするだけで巻き上げられます。ライカ並の軽さでレバーの必要性を感じないくらいです。
 シャッターボタンも前蓋にあるドイツのカメラの古典的手法です。慣れれば問題は無いでしょうね。
 この型はファインダーがレンズの真上にありパララックスの点では2Aのように斜め上にあるものより有利です。
 アクセサリーシューは初期のものは専用のアタッチメントを使うようになっていますが、後期には軍艦部に備え付けられました。初期に無かったのはデザイン優先のためでしょうかね。

 巻上げノブの隣のレバーは巻き戻しボタンと同じものでスプロケットをフリーにします。これを巻き戻しの時のように起こし巻き上げればシャッターがコックされないので好きなだけ巻き上げられます。これを利用して途中で巻き戻したフィルムの続きを使えると宣伝文句にあります。ニコンFの巻き戻しリングを利用した二重撮りと同じ発想ですね。このレバーを操作するとフィルムカウンターは0に戻ります。

 ビトーのスプロケットは巻き取り軸側ではなくパトローネ側です。日本のカメラなどとは違う発想です。フィルムに引っ張られて回り、二重露光防止機能を働かせるのです。
 このあたりの他機種との比較は
ここが違う有名三種にまとめてあります。
    カラー・スコパー テッサータイプ
 レンズのカラースコパーはフォクトレンダーの高級バージョンです。このレンズがあるので120、135共にフォクトレンダーのファンが居るようなものです。
 レンズも普及品のフォイター/Voighter付きもあり、シャッターもシンクロコンパーやプロンターSVのものがあるようです。
 カメラとしては決して機動性のあるものではありませんが、私もこの「カラースコパー」を使ってみたくて手配しました。
 ビトー・VITOと言うカメラには普通の35mmカメラもあります。スプリングカメラの時代が終わったときにその名前を継承した形でBとかえ打板をつけています。ファインダーの大きな独特の顔つきのもので、実用性はそちらの方が上だと思います。

 この時代のカメラに多いのですがストラップ用の金具が無いため、三脚穴を利用するリストストラップが便利です。
 この個体はeBayオークションで買ったもので外人さんにカメラに多いのですが元の持ち主の名前が掘り込んであります。しかし、プロによる彫刻できれいに仕上がっているので気にはなりません。

 ビトー2・・・新旧二種類
 ビトーIIは長く作られていましたが、途中での大きな改良は、アクセサリーシューを追加したことです。
 単独距離計の普及や小型のフラッシュガンの普及でアクセサリーシューが重要なものになってきたからでしょう。

上:最初のもの
下:最終型

 アクセサリーシューを取り付けるため、ロゴの配置が変更になっています。写真では消えかけていますが、カウンターなど機構面では変更は見られません。
 中には自分でシューを付けたものも出回っているようですが、それだと、フォクトレンダーのロゴが隠れてしまいます。

 前蓋の上の部分に見える金属部分がシャッターレリーズです。丸いポッチが手で押すもの。黒い穴はレリーズケーブルを付けるところです。
上:最初のもの
下:最終型

 前から見たところです。改良前のものは、専用の外付けアクセサリーシューを固定するためのリベットがファインダーの両脇にあります。ここまでして、アクセサリーシューが付けられるようにしても、所詮は外付けです。不安定でもあり、別に用意する必要もあり、無くすこともあり、良い所無しです。しいて言えば、カメラに引っ掛かりが無くポケットなどには収まりよいでしょうが・・・
 もう一つ、デザイン上の違いは、貼り革に古いほうはプレスした横筋が入っていますが、改良型にはありません。シューにかかったコストを少しでも埋めるために変更したのでしょうか?
 他にはこの二台はシャッターが違うのでシンクロ接点の位置なども違いますが、これは型の新しい古いではなく、どの時期のものにもある、バリエーションの違いです。
 ちなみに、シンクロ接点の位置はコンパーよりプロンターの方が下にあり、シンクロコードがファインダーを邪魔する割合が低いようです。ただし、グレードはコンパーのほうが上です。