TOYO QUICK ROLL SLIDER
トヨ・クイック・ロール・スライダー

改造

 トヨビューから4×5カメラを使って6×9写真を撮るときに便利な付属品が出ています。
 タイトルのように、ロールフィルムを使って、ピンとグラスとスライドさせて入れ替える物です。
 便利なのですが、結構高い物で新品は5万とかするようです。
 トプコン用とかトヨビュー用とか出ています。
 入手したのは『トヨビュー用』でした。
 そんなに使う人が居ないのでオークションとかでは見つければ割合と安くゲットできると思います。
 ただ、トヨビュー用などはクラウン・グラフィックのような4×5グラフロックのカメラには取り付け部分が合いません。
 そこだけ違う物を作って取り替えれば問題なく使える物です。

 トヨ・クイック・ロールスライダー トヨビュー用

 これが原型です。
 この真四角の部分がトヨビュー本体に取り付けられる部分です。
 小さなネジ8本で6×9の窓の部分に取り付けられています。
 この部分を、外して、普通のグラフロックアダプターの大きさの物を自作して取り替えればクラウン・グラフィックとか他のものに流用できます。

 内面反射防止のぎざぎざが見えますが、スライド部分のメカとか、カメラ本体の出っ張りに当たらないように約20mmフィルム面が通常より下がることになります。ワイドレンズでは不都合が起きる可能性もあります。
 改造完成品

 矢印の部分が自作した物です。
 グラフバックの留め金が押えるためには5.5mmくらいの厚みが必要ですが、そんなに厚いアルミ板は入手できませんし、加工も厄介です。
 かといって、4×5の大きさの真ん中に大きな窓を開けてしまいますから、1mmなどと言うアルミ板では強度が保てません。
 私が使ったのは普通のホームセンターで入手できる3mm厚のアルミ板です。
 加工で少し厄介なのは、8本のネジがナット止めではなく、6×9枠に開けてあるネジ穴にねじ込むので正確さがある程度要求されることです。
 加工自体は金鋸、ドリル、ニッパー、ヤスリだけで出来ます。ドリルスタンドが無いのでネジ穴が垂直にならないのが困り物です。
 穴の回りは反射防止のラシャ紙です。他は艶消し塗料を塗っただけです。
 使用状況 1

 通常の使用状態はこのようになります。
 ロールフィルムバックは23スピグラ、センチュリー・グラフィック、マミヤRBなどのものを取り付けます。
 この、トヨのピントグラスには100mmの格子が刻まれていますし、今のピントグラスですから結構明るくなっています。
 これ専用のフード状のルーペもあるようですが、いつもどおりにルーペを使ってもさほど不便はないと思います。

 使用可能なレンズの焦点距離
 スライダーを付けるとフィルム位置が数センチ後ろに下がります。そのため、短焦点レンズの無限位置が出せなくなります。
 クラウン・グラフィックで手持ちのレンズでテストした結果、バウシュ&ロムの88mmがぎりぎりで無限が出せました。75mmはへっこんだレンズボードで無いと駄目だと思います。
 フォーカルプレーンシャッター付きのスピグラだと100mmでもきついかもしれません。
 使用状況 2

 この形がピントあわせ状態です。
 ロールホルダーが上に押し上げられていますから、ちょっと頭でっかちの感じもあります。
 ピント合わせのルーペを使うのにぶつかるほどの物ではありません。

 最大の利点

 ピントグラスを使っての撮影で一番厄介なのは外したピントグラスの置き場と、フィルムホルダーの始末です。
 落とせば割れるピントグラス、それも4×5のものはポケットにも入りません。下手なところにおけば、踏んで割るとか忘れてくるとか・・・
 それが一気に解決されます。
 操作性が改善されれば、レンズを交換する気力も出ると思います。
 使用状況 3

 撮影状態のものです。
 このようにスライドさせると、フィルムバックの前にある、スライダー内蔵の遮光版がカチンと言う音を立てて開きます。
 もちろん、ホルダーの遮光版は使いますからこれが無くてもよいわけです。
 この内蔵遮光版は本当に有効な物なのかどうかはやってみないと分かりません。
 ホルダーの方の遮光板を入れ忘れてスライダーを動かした時には救ってくれるのでしょうね。
 スライド操作ボタン

 このスライダーを動かすのじゃ実に簡単です。
 矢印のボタンを押してフィルムホルダーを軽く押し下げると動き、一番下の所定の位置に来るとカチンと止まります。
 ぴんと合わせをしてスライドさせるのですから、やたら硬かったりすると、カメラ位置が変わる可能性があるのでこうでないと困ります。

 これからの使用予定
 これでピントグラスでのピンと合わせも苦になりませんから、レンズ交換をしながらの撮影が楽しめそうです。
 手持ちのレンズでこのボディで使うのは以下の通りです。
   88mm バウシュ&ロム テッサータイプ
  105mm エルマジー    不明
  127mm エクター      テッサータイプ
  135mm テッサー      テッサータイプ
  150mm フジナー      テッサータイプ
  210mm ジンマー      ダブル・アナスティグマット

   300mmが欲しいです…出来ればダゴールで…
 装着・実写テスト

 装着して撮影してみました。
 周辺への光線引きも無く上々でした。
 ピント合わせからフィルムへの切り替えも、まさにワンタッチになり、ものすごく楽になりました。
 装着したレンズはクラウン・グラフィックの標準レンズのコダック・エクター127mmです。
 この日にはフジナー150mmにも替えて撮影してみましたが、マミヤRBでの撮影とほとんど同じ手間でグラフィックカメラが使えます。
 やはり、道具と言う物は便利な物です。
      クラウン・グラフィック