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 写真を撮る時、私達は『カメラ』で撮ります。だから、写真はカメラで決まると思いがちですが、カメラのボディーは写真の仕上がりには大した働きをしていません。昔だと、安いボディーだとフィルムが平らにならないの、やたらと切れるの、シャッター速度が当てにならないの・・・などと言いましたが、今ではレンズつきフィルムでさえ問題がなくなっています。
 写真の仕上がりは、フィルム・現像所は同じでも、レンズが大きく関係します。
 カメラを選ぶ時は、レンズを選ぶ時です。一眼レフの様にレンズが交換できるものは「どのレンズをつけるか・・・」がそのカメラの写真を決めてしまいます。
 とはいっても、普通にサービスサイズで子供を撮っているうちは、レンズの味とかはあまり気にしなくても良いと思います。純正だから良いとは限りません。レンズ専門メーカーの品も、昔と違い二流ではありません。むしろ、色んなカメラに、同じレンズを使うので量を作れるため、しっかりしたものも多いです。最近では、プロも結構使っているようです。
 使う上で一番問題なのは、焦点距離です。つまり、ワイドか望遠か・・・と言うことです。もう一つは、ズームか固定か・・と言うことです。コンパクトカメラは事実上ズームばかりでしょう。
 最近は、ズームレンズも性能が向上していますから、特別な場合を除いて、「ズームは駄目だ」ってことは無いと思います。古い人は昔のイメージを引っ張っていますから、そういう人も居ます。人物写真で作品を作るなら考えた方が良いかもしれませんがね。
 チラシとかで、一流メーカーの一眼レフに、レンズメーカーの28〜80と75〜200なんて二本のレンズをつけて2万円台とかの物が出てきますね。ちょこっと、写真を撮って遊ぶなら、あれで良いと思いますよ。十数万掛けても、撮らなきゃ駄目ですからね。差額でヨーロッパへ撮影に行けるくらいですからね。味が分かって、自分の好みが分かったら、そのときレンズを買い換えればよいでしょう。お金があれば、使わない機能の詰まった高いボディも良いでしょう。
 多分、ズームを使っても、満遍なくその焦点範囲を使う人は少ないと思います。標準ズームとされる28〜80でも、好みによってワイド側に偏る人と、棒縁側に偏る人に分かれてきます。私なんかは断然ワイドに偏ります。
 レンズ、それも焦点距離による特性の違いは、レンズのメーカーの差より目立ちます。使ってみないと分かりませんから、特性に合わせた撮り方を、何回かやってこつをつかんでください。
 下に、概略をまとめておきます。 区分等は私の個人的見解です。
 実例は表の下のリンク先にあります。

超・超ワイド・魚眼 7〜11  mm 180度というか360度の円形の画面になる物で、特殊な効果があるが、実用性は???のものです。お金に余裕のある時に買ってください。最初は面白くて使いますが、乾燥庫の中に眠る時間が増えます。
超ワイド 11〜21  かなり癖があります。最近のものは画面の端っこが暗くなったり、ひん曲がったりするものは少なくなりましたが、遠近感が誇張され、面白い効果があります。
 21mmで画角が90度あります。六畳の部屋で長い方に人を並べて、記念写真が撮れます。但し、ストロボのカバーするのははせいぜい28mmまでと思ってください。
 このHPのタイトルの船の写真が約19mmです。船までの距離、約60cmです。ここまで近づいてもほとんど全域にピントがあります。
 超ワイドを使うコツは『張り付く』ことです。そして、近景を際立たせることです。ピントは後まで合いますからね。『一歩前!!!』『貼り付け!!!』を心掛ければ楽しいレンズです。
ワイド 24〜35  今では標準に近い使い方をされるレンズです。窮屈でない程度に画角もあるし、焦点深度もまぁまぁありますから、万能レンズに近いものです。このレンズでも、もう一歩前を心掛けないと、主題が小さく、平面になりがちです。
 ひずみも感じないワイドです。この辺りで、隙のない構図が取れれば、もう、超ワイドに近づいています。
 ヨーロッパなどの町での撮影には、この辺のレンズではきついかもしれません。建物は大きいし、後ろに下がれないし・・・が、多いですからね。
標準 40〜60  かつては50mmを標準レンズと呼びました。使いよいと言えばそうなのですが、中途半端とも言われます。ズーム時代には忘れられがちですが、単体レンズでは、比較的安くて良いものがあります。
準望遠 70〜105  望遠レンズの入り口です。人間のと良く似た遠近感です。少し画角が狭く、焦点深度も浅くなってくるので、ピント合わせには気をつけてください。オートフォーカスではカメラのピント合わせのゾーンと被写体の焦点を合わせる場所とを良く確かめて、シャッター半押しのテクニックも必要になってきます。
 女の子を、自然に美しく写すにはこの辺りを使ってください。
 又、単体レンズでは85〜105mmあたりに明るくて人物に向く味のレンズが各社から出ています。
望遠 135〜250  望遠と言うとこの辺りが使いよいところだろうと思います。望遠らしい遠近感のないつぶれた映像も作れます。但し、遠くのものを引き寄せると言うほどのものではありません。それを期待するよりは、望遠らしい描写、被写体以外の極端な『ボケ』を楽しむものでしょう。止まり、ほとんど近づける程度が多いですから。
 『ボケ』が大きな部分をしまるようになる分、レンズ固有の『ボケ味』が話題になる領域です。前の準望遠でもポートレートで絞りを開け、近距離撮影をする場合は、この『ボケ味』が問題にされます。これには好みと先入観があります。NIKON党はニッコールが一番と言い、ミノルタ派はミノルタだと言う物です。
 この辺りを使いたい人は、ボディを選ぶ時に既に考えておかないと・・・カメラ雑誌の作品等を見て決まると良いと思います。切れ味だけで決まらない、面白いところです。
超望遠 300〜  ここから上は、普通ではあまり使う領域ではありません。動物生態とかに興味のある方は使うようになるかもしれません。この辺になると、高級品と望遠鏡を改造したクラスで、価格的にも雲泥の差が出てきます。もちろん、三脚無しで撮れるものでも無し、三脚の「軽くて便利」ではすまなくなります。
 私にとっては、経験のない領域です。これは、その分野の雑誌や先輩に尋ねるしかないでしょう。しかし、それなら・・と、何十万といわれても知りませんよ。予算を決めてからカタログを見てください。下手なカメラよりは高いです。

 目で見る焦点距離による画角の違い