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モノクロフィルムの現像作業   

 フィルム現像のいろは・・・そして完成

 白黒フィルムの現像は誰でも簡単に出来ます。特に最近のカメラは露出が正確ですから、温度と時間を守れば確実に仕上がります。
 難しいとすれば、現像タンクのリールにフィルムを巻き込む作業くらいでしょうね。これも、駄目にしたフィルムなどで、明るいところで、目を瞑って巻き込み、目を開けて
確かめる・・・という練習を繰り返せば簡単になれることが出来る。ぜひ、チャレンジしてみて欲しいと思います。
 又、フジの主な薬品を下に掲げてあるので参考にしてください。

現像タンクの準備  まさに暗室、真っ暗闇で作業しますから、途中で物が足りないとか、場所が分からないなんてことが無いように、必要なものを手元に手探りで分かるように配置する。
 もし、現像タンクの蓋などみつからない時にはそのフィルムは駄目になると思ってください。
 現像タンクの代表的なものはこちらにあります
 フィルムの準備  フィルムも現像するものかどうか確かめてください。カラーフィルムは白黒現像液では現像出来ませんから、念を入れて・・・パトローネ(入れ物)の蓋は昔の栓抜きで開きます。写真用は目茶高いです。うまくあう栓抜きを探しておくと楽です。今のパトローネはフィルムの軸の出っ張った方をとんとん打ち付けても開きにくくなっています。
フィルム・パトローネを開ける 今のカメラはほとんどフィルムの先端を巻き込んでしまいますから、蓋を開けてからしか何も出来ないでしょう。開ける前にもう一度現像タンクのチェックを・・・巻き込む方向は一方向です。LPLのものは勘違いしがちですから、いつも同じ方向に置いてから電気を消すようにすれば間違いが減ります。
 もう一つ、完全な暗室でない時は、家族全員に声を掛けて巻き込む間の5分間とか一寸余分に廊下の電灯とかを点けない様に頼むことも忘れずに・・・印画紙は感度は鈍いですが、フィルムはわずかな光に反応しますよ。
フィルムを巻き込む  パトローネを開けたら、フィルムを軸ごと取り出してフィルム面に触らないよう、親指と中指で少しつぶすように持って、リールの中心に差込、跡は、つぶしたままで、ゆっくりリールを廻せば、巻き込めます。癖の通りにまいてゆくときは、薬を塗った面が内側を向いていますから、少々触っても大丈夫です。薬指を使って、溝を乗り越えてカーブが変になっていないか確かめても大丈夫です。手袋をして出来る方は大したものです。
 このとき、キングの片溝は作業は楽です。温度管理等はステンレスの現像タンクの方が楽です。これは、好みと慣れです。
薬液の温度調整  現像タンクにフィルムを入れたら、もう、明るいところでの作業ですし、ゆっくり、薬液の温度調整をしてください。モノクロ用現像液はほとんど20℃で標準の力が出るようになっています。高いと時間を短縮しないといけませんし、粒子も荒れてきます。低すぎると時間を伸ばしても、うまく仕上がりません。特殊な時以外は0.5℃くらいの誤差に収めてください。
 昔と違いお湯もあるし、氷もありますから、簡単です。現像タンク全体を安定させるために、洗面器などに水を入れ20℃にしたものも用意するとうまく行きます。
現像液注入  温度が決まれば、現像液を手早く注入します。怖がって時間を掛けると下のほうが早く現像されるのでムラになるときもあります。10分ほどの時間ですから、1分かかれば一割ですよ。と、言っても、中々ムラにはなりません。
 入れたら、すぐに攪拌です。心棒の出ているものはそれを廻し、ステンレスの現像タンクはとんとん底を叩いて、フィルムに付いた気泡を取り除き、そのまま、ひっくり返したりゆすったりで、ムラ無く液が行き渡るようにします。
 最初の2分くらいやればあとは1分に一回とかゆすってやります。休まずにゆすると、一割ほど反応が進みますから、早めに打ち切ります。
現像・時間厳守
 フジドール 7分
 ミクロファイン 10分
現像時間は薬品の箱に書いてあります。必ず、箱を残しておきましょう。薬はだんだん痛んできて、能力が落ちます。従って、現像時間も少しずつ延びます。使わないで保管しても、酸化して能力が落ちます。その辺も考慮pして、30秒とか余分にやります。
 TRI-Xなどは現像時間を延ばせば2・4・8倍とかの感度に使えます。
 昔のフィルムは 感度が鈍かったので、緑色の安全光で仕上がりを見られたのですが、今のフィルムは事実上『見られません。時間現像になります。
 よく忘れるのが、現像液を入れた時間を見忘れることです。普通の時計でしたら、切りの良いところで薬を入れるようにしたら、終わりも分かりやすいですよ。
停止  現像時間が終了したら、手早く薬を、排出します。その後に、氷酢酸を薄めた『停止液』を入れるのですが、これは無くても結構です。温度があまり違わなければ水を手早く注入して、すぐにはかせば良いです。定着液が少し薄まりますが、定着液に限界まで使い込むことは無いと思います。
定着液注入  次は定着液を注入して、しばらくは攪拌して、薬がムラ無く廻るようにします。こちらも時間までやりますが、少しくらい伸びても、現像の時ほどの影響はありません。ものの3分もすると開けても一応大丈夫くらいまで進んでいます。巻き込みに不安があれば、一寸のぞいて、重なった部分が白くなっていれば、手直しして透明に出来ますが、これは、定着をするだけで、写真の救済にはなりません。ネガカバーが格好悪いのをごまかすだけです。
定着・時間ほぼ守る
 フジフィックス 10分
 上のような感じですから、定着時間は現像ほど厳守ではありませんが、定着不足は変色の元にもなります。
水洗い
 通常30分以上
 促進剤 5分
 最後の水洗いです。一番変色に関係ある行程です。今は、水洗促進剤で残っている定着液を、科学的に中和して水洗時間を短縮することが出来ます。この薬品は安いですから、使った方が楽でしょうね。水洗いはとにかく丁寧に・・・
乾燥  ずべて終われば、乾燥です。35mmの36枚撮りは長いですから、高いところに引っ掛ける必要があります。専用のクリッップは針が付いていてフィルムに食いつくようになっています。又、錘が付いていてフィルムをピンと引っ張ります。
 洗濯バサミはきつめのものを使い、しっかり挟まなくては落ちてしまいます。落とすと、洗濯物どころじゃない悲劇になります。下側もフィルムが丸まらないように、洗濯バサミと多くつければ出来上がりです。この乾くまでの間はホコリ厳禁です。この時付くと取れません。
保存 完全に乾いたら、ケースに合わせて切ります。フィルムはゼラチンに薬を混ぜて塗ってありますから、思ったより時間が掛かります。

 これだけのことで、間違いなく、フィルムは出来上がります。是非ともチャレンジを・・・
 
 主な薬品 FUJI・KODAK

ミクロファイン 超微粒子現像薬・・・おお伸ばし用のネガ作りに使うが、感度は犠牲になる
低感度の微粒子フィルムとの組み合わせなら、35mmから全紙伸ばしもきれいに仕上がる
フジドール 標準現像薬・・粒子を犠牲にせず、標準のフィルム感度を維持するもの。
 時間延長で増感現像にも使える。
氷酢酸 純粋な酢・・現像液のアルカリ性を中和して、現像の即時停止と、定着液の痛みを防止する。
 米酢などで代用する人も居る。
フジフィックス  標準的な定着液でフィルム・印画紙ともに使う。
1リットルから業務用まで色んなパッケージがある。
水洗促進剤 QW  名も通り、定着液の主成分ハイポを中和して、水洗いを短縮するもの。フィルムはまだしも、印画紙においては、水洗の際、重なり合うため、完全にしにくいが、これうを使えば、水洗不足の変色も減らすことが出来る。
D76  現像液の定番中の定番。古典中の古典ですが世界では一番使われていると思います。