35mmカメラ・・・
 ライカに始まる35mmは日本でも戦後二眼レフ全盛時代にその陰で基盤を作り、その手軽さ、使いよさで、見る間にカメラの主流に躍り出ました。
 この普及にはフィルムの進歩もありました。NEOPAN SSなどと言う高感度・微粒子のフィルムが国産でも発売され、三脚無しのスナップが簡単に撮れるようになると、35mmの優位性ははっりしました。
 例えば、ASA50だと上天気でf8の1/100がせいぜいです。ちょいと曇って木陰になるとf3.5のレンズでは1/25が切れれば上等です。そうなると、三脚の出番です。それなら、じっくり撮る二眼レフでも・・・となるのですが、そんなときでも手持ち可能の1/50切れるなら、軽い35mmに越したことないわけです。それに、それまでは密着で済ませたプリントも写真屋で安く伸ばしてくれるようになり、原版の小さいことは問題なくなりました。
 その流れは本当に急でした。気が付くと二眼レフは片隅に追いやられていました。
 35mmの世界には、ライカ・コンタックスというドイツの名機を真似たレンズ交換可能なフォーカルプレーンというボディにシャッターのある高級路線と、レンズにシャッターを組み込んで、レンズは換えられないが、組み立てやすい普及機路線がありました。今でも、同じ図式になっていますね。高級機は距離計連動のファインダー式から、一眼レフにシフトしては居ますがね。
 ただ、この分野はあまりにも多くのメーカーが多種多様のカメラを出したため、整理することも推薦することも出来ないのが現状です。自動露出とか、オートフォーカスのなかった時代を基準にまとめます。

   レンズシャッターカメラ         フォーカルプレーンカメラへ

 レンズシャッターの新旧は一応シャッター速度やレンズの明るさでおおよそ推測できます。
 日本のカメラのレンズは昭和30年頃までf3.5が主力でした。
30年代に入りf2.8が普及機、f2クラスが高級機の標準レンズとなりました。シャッター速度もドイツのコンパ^-などに比べ進歩が遅れました。二眼レフの古いのや35mmの極古い物には1/200のシャッターが付いています。次が1/300でフレッシュがXとMの切り替えになってきます。そして、少しの間だけ1/400があり、1/500になっています。1/500がレンズシャッターの限界といわれ、特殊なものを除いて、今でも機械式は1/500です。
 中古市場では1/200のものもたまに見受けられます。その頃のものは、距離計もありません。目測に自信のない方は避けたほうが無難です。たまに、オリンパスワイドなどワイドの付いたものがありますが、晴天の日のスナップ用と割り切ってください。シャッターが1/200で絞りが16という機種があります。間違ってASA400を入れると昼間撮れなくなります。ASA50かせいぜい100の時代のカメラですからね。

 
レンズシャッターカメラはなぜやすい・・・レンズシャッターと言うものは、レンズの中で光の一番細くなる辺りに入れるようになっています。従って、少々レンズの大きさや口径が違っても同じものが組み込めるのです。
 初期には自家製シャッターを使うカメラメーカーも見られましたが、精密機械メーカーの『セイコー』『コパル』がシャッター専門に組み立て始めると、ほとんどのメーカーはそれを使うようになりました。大量生産で正確で安いシャッターが実現しました。一つ一つ型ごとに違うシャッターをボディーに組み込むより格段にコストが安くなりました。レンズが交換しにくいというデメリットは安くて丈夫というメリットより小さいものでした。中には色んなアイデアでレンズ交換にしたものもありましたが、構造が簡単、安いのメリットが減り、レンズごとにシャッターをつけなくてはならないなんてデメリットを背負い、消えて行きました。もし、そういうカメラを見つけたら、交換レンズが一緒でなければ、ほとんど入手困難です。
 大型カメラではレンズシャッターでレンズ交換を行うものが多いです。幕を二枚高速で走らせるには、原版の大きなカメラでは無理があるからです。

 レンズシャッターカメラのメーカーとその時代のランク???
 これは、私がカメラ雑誌とかで憧れていた時代・・昭和20年代後半から30年代のカメラメーカーと、知名度や高級感とかの個人的ランク付けです。あくまでも参考です。
シャッターはセイコー・コパル・シチズンでカメラ各社による優劣はありません。

メーカー 主な機種 こんなカメラ・こんなメーカーでした
オリンパス OLYMPUS 35
OLYMPUS WIDE
OLYMPUS 35S
OLYMPUS REN

オリンパストリップ以降
切れの良いズイコーレンズを売り物に35mmのレンズシャッターカメラでは主力メーカーとして、名をはせたものです。
オリンパスペンを送り出し、ブローニーのセミ版のように画面サイズを半分にして、35枚撮りで72枚という経済性を実現、レンズ切れのよさもあって一世を風靡し、ハーフサイズブームを巻き起こした。このペンは数も多くでたので今でもかなり多く流通しています。
 いいカメラばかりですが、二眼レフ同様、古いワイドとか35はレンズの曇りを確認してください。私はオリンパスからスタートしこうした事を書かなくてはならないのが残念です。曇りがなければ最高のレンズですよ。
 トリップ以降は他メーカーとあまり変わりなくなったような気がします。
コニカ コニカ35 小西六はヘキサノンと言う絶対的信頼を勝ち得たレンズを武器に35mm界でも根強いファンをえていた。しっかりした作りもあり、U型V型は今ではマニアの収集対象になり、かなりの高額になっている。
アイレス アイレス35  当時は最高の評価を取ったカメラです。かなり重いボディでしたね。これも、完動品は高価ですね。
岡谷光学 ロード35  まさに、小型の名機! 知る人ぞ知るです。完動品を見かけて安かったら手に入れてください。
ペトリ ペトリ  なくなってしまったメーカーですが、色々とアイデアを出して頑張りました。一眼レフもありました。ただ、乗り遅れの二番手メーカーのイメージで損をしました。カメラとしては良いのですがね。
ミノルタ ミノルタ35  ミノルタの35mmといえば丸っこいやつ・・といわれるくらい個性の強いカメラを作りました。ロッコールレンズも評判を呼んで35mmでは地味ながら評価の高いカメラでした。
アルコ アルコ35 スプリングカメラのところで取り上げた、折りたたみの名機でしたが、ドイツのレチナと比べられ随分損をしました。スプリングカメラが既に下火でしたし、35mmを折りたたむメリットもあまりなく、目立った割りに売れませんでした。でも、この頃は憧れられた一つです。
リコー リコー35
リコーオートハーフ
 二眼レフが生き残ったため、35mmへの本格参入が比較的遅くなった感じでした。それと、ヤシカと死闘を演じた二眼安売り競争の関係で、リコー=安いのイメージが固定してしまい、苦労したものです。
 結構、個性的な、二眼レフで好評だった焦点合わせのレバーを左右に付けてみたり、少し横長の好きなメーカ^でした。
 ハーフブームの時ゼンマイでフィルムを巻き上げる今のカメラみたいな『リコー・オートハーフ』を発売、話題をさらったが、一寸トラブルも多かったですね。最も、ポンと叩けばジャーっと巻き上げましたがね。
 リコーのアイデア開発精神はそれからも変わりませんね。
フジ フジペット
フジカ35
 フジの35mmはなんと言ってもフジペットとフジペット35です。プラスチックのおもちゃに毛の生えたものでしたが、ちゃんと写りました。カメラが高価な時代に子供にも買って上げられるものとして、随分売れました。このカメラで写真を始めた人も随分居るはずです。但し、今はコレクション用です。
 ほかのフジカ35はずっと後になるまではカメラ界では問題外でした。
キャノン キャノネット  天下のキャノンがレンズシャッター機を出しました。期待されました。そこそこ売れました。でも、キャノンじゃないといわれました。難しいですね、メーカーのイメージと言うものは・・・
マミヤ マミヤ35  35mmも作ったのですが、存在感がなかったですね。今でも中版カメラメーカーですからね。
東京光学トプコン トプコン35  世界一の呼び名をつける人も居るくらいのトプコールをのせた高級機です。
 明るくて、切れて・・の評判でしたが、高級機ですから数は出ていません。
ヤシカ ヤシカ35 リコー同様最後まで二眼レフに力を入れたので、この分野では何となく後発メーカー扱いされました。近年になってどういうわけかヤシカマニアが出てきましたね。
 アイデア一杯のカメラが多いですが、露出計連動時代のカメラが多いです。その前の時期は二眼しか売れない状態でしたからね。
ニコン 二コレット
ニコノス
 キャノン同様、普及機を開発しました。悪くなくても、ニコンでないカメラは駄目でした。不慣れな部門ではニコンもちっとも良いカメラになりませんでした。
 実用機で初めて水陸両用機を発売しました。Oリングを使って本当に水に漬けても大丈夫でした。びっくりしましたね。目茶売れるわけでもないのですが、少しずつ改良して作り続けましたね。ケースに入れないで水中撮影が気楽に出来るのは世界でこのニコノスだけですね。ここでは、さすが、日本光学!!!
興和 カロワイド ここはアイデア勝負の会社です。良いもの持っていました。でも、日本ではブランド名が優先しました。あまり中古では出回りませんが良いカメラです。
サモカ 輸出が多かったメーカーですが、おもちゃに近いものから、きちんとしたカメラまで作りました。割と早く姿を消しましたが、どういうわけかマニアが居るようです。