中古・クラッシクカメラの選び方 2


 スプリングカメラ・・蛇腹式カメラ   ついでに 使えない・使えなくなりそうなカメラ
 ツァイス・ネッター518/16
 
一世を風靡した
形のジャバラがあって、折りたためるカメラです。最近のコンパクトカメラやデジタルカメラはレンズが引っ込んで小さくなりますが、66とかの大きなカメラを何とか小さく・・と考えられたものです。たたむのは簡単です。でも、何回開いても同じようにレンズとフィルムの距離・平行性を保つのは大変です。一眼レフじゃありませんから、ずれていてもピントがボケていても、分からないままカメラに書いてある目盛りを信用しなくてはならないからです。
 これも、戦前のドイツのカメラから発生し、すでに戦前から日本でも作られていました。
 この形式も、戦後、町工場でも作られ、主にアメリカに輸出されました。

    外国製のスプリングカメラの一部はMY CAMERAに写真や試写結果もあります。
    また、スプリングカメラやその時代のカメラについてのコラムがについてスプリング・コラムにあります。

名前 流通量 コメント
マミヤ シックス  なんと言っても120フィルムのスプリングカメラの日本代表でしょうね。世界に例を見ない、レンズではなくフィルムを前後させてピントを合わせる方式を実用化しました。それによって、距離計連動、というスプリングカメラの苦手な部門をクリアーしました。距離計連動と言う見方を持ったマミヤシックスはまさに一世を風靡しましたが、時代の流れは35mmに移り、消えて行きましたが、数が多いため、中古で流通する数も多く、実用になるものも多いですね。
 6×6と6×4.5を切り替えて使えるものも多く出ていますが、そのマスクを紛失したものがありますから、確認してから購入してください。なくても66は問題なく使えます。
パール T・U・V
セミ
 小西六のまさに代表機種となった機種ですね。ヘキサノンの評判とともにもてはやされましたが、高級機でしたので数がマミヤほどありません。それもあり、パール神話的に神格扱いで、中古は目茶高いですね。
フジカ シックス  一寸気の利いたデザインでした。これに関して派、さくらに負けました。カメラに関しては、フジはもうひとつパッとしませんでしたね。頑丈で、やさしいかたちで・・・数がない割りはパールほどの値段にはなりません。
ミハマ シックス 極少  町工場カメラですが、オヤジさんの入れ込みようが分かると、今の時代に評価されますが、本当に短い間だけですから、半分博物館物ですね。
コニレット 小西六(さくら)製・・「おもちゃのカメラに毛が生えた」と言えば怒られるかもしれませんが、そのクラスを狙った、普及機です。これが対抗機種と見たのは富士写真工業の富士ペットの35と66でした。カメラとしてはこのコニレットが数段上ですが、売れたのはプラスチックで使い捨てカメラの元祖みたいな、フジペットでした。
 但し、両方とも、今日では実用性があまりないので、きれいなものをコレクションとして売買するので、信じられない値段がつくこともあります。
 おじいちゃんの家の引き出しの中におもちゃと一緒に転がっているかもしれないカメラです。
アルコ 35 極少 国産35mm最高級スプリングカメラです。その当時としては最高の機能を盛り込んでいました。外付けの丸いファインダーがあり、それが最大の売りでした。探されるのでしたら、ぜひ、そのファインダーもつけてください。但し、なくてもレンズ交換式ではないので普通のカメラと同じように内蔵ファインダーで距離計も画面も確認できます。
イコンタ
6*6
6*9
セミ
ドイツ・ツァイス・イコンのスプリングカメラの代表と言うより、世界のスプリングカメラの代表。
距離計連動のものはスーパーイコンタと呼ばれます。
レンズは名玉テッサーや普及品ののばーが付いています。
ネッター
6*6
6*9
イコンタの普及品として出されたもので、レンズがノバーになりシャッターがプロンターなどになります。
作りはイコンタ同様、きちんとしたものです。
イソレット
6*6 ドイツ・アグファのスプリングカメラ。レンズやシャッターの組み合わせが多くありますが、ソリナーが付いたものが高級品です。
ベッサ 6*9 ドイツ・フォクトレンダーの代表的スプリングカメラ
長い間作られているので色んな組み合わせがあります。スコパーが付いたものが高級品です。
ペルケオ 6*6 フォクトレンダーの6*6スプリングカメラでやはりスコパーが付いたものが高級品です。
エンサイン
820
6*9 英国・エンサイン社の高級スプリングカメラでこれもレンズが各種あります。
ロス・エクスプレスのレンズが高級品です。
バルディクス 6*6 ドイツ・バルダ社のスプリングカメラ。
レンズが色々ありレンズにより格が違います。エナゴンなどは高級品です。
ボナフィックス 6*9 ドイツ・フランカ社のスプリングカメラでセルフィックスなどと同じものです。ラディオナールなどが代表的レンズです。
コダック66 6*6 英国・コダック社のスプリングカメラ。
コダックは同じサイズでも620と言う規格のフィルムを使っていたため、今日では普通のフィルムが使えるこの機種などは貴重なものです。
アジフォルド 6*6 英国・アジフィックスのカメラです。アイデア一杯のメーカーですから色々な物を作っています。
ミローナ 6*6 少  チェコスロバキアのメオプタ社のカメラで簡易型のアオリ装置を持つユニークなものです。
レチナ 35mm ドイツ・コダック社の35mmスプリングカメラ。各種作られていますが、35mmスプリングカメラでは名機中の名機です。
コンテッサ 35mm ドイツ・ツァイス・イコンの35mmスプリングカメラ。
名玉テッサーつきがあります。操作性はレチナに軍配が上がるかと思いますが、捨てがたい魅力があります。

  赤字のカメラは詳しい解説や実写テストがあります。  


 使えない・使えなくなりそうカメラ  フィルム規格の面から

 何とも、情けない題名ですが、クラシックカメラブームで古いカメラを全然知らない方もオークションなどで、『これは安い!これかわいい!!!」と、手を出すようなので、その前に一言・・・
 飾っておくのなら、なんでも結構です。カメラとして一度でも使ってみたいのなら、当然、フィルムが要りますね。この50年の間に、色んなアイデアでカメラとともにフィルムの規格も色々作られました。その中で、生き残ったのは事実上35mmと、120と220の新旧ブローニーです。APSはなんとか息をしていますが、これはカメラメーカーとともに開発したフィルムメーカーの責任で作っているだけです。もう、当の昔に採算は合っていません。ということは・・・
以下にフィルムの主な規格と、現状、見込みを書いておきます。中古カメラを買うときには必ず、使うフィルムを確認してください。ただの箱をつかまないように・・・

規格・呼び名 主な画面サイズ 将来  解説
35mm
     135
24×36
24×18
 ご存知、35mmフィルム。銀塩写真があるうちは大丈夫です。
 これを使うカメラは将来も使えるということです。
 普通のフィルムの中で裏に紙がなく裸フィルムの最初です。
ブローニー
     120
     220
6×4.5
6×6
6×7
6×8
6×9
 プロを中心に需要があります。ただ、スーパーとかに出店している写真屋にはおいていないことが多いです。当然、観光地の売店にもほとんどありません。それでも、量販店にはコーナーがあります。あとは、町のスタジオのある写真屋さんは自家用に持っています。これも、ネガが多いですよ。
 将来的にも残ると思います。旅行などには必ず、予備のフィルムを持参してください。中国には白黒は普通にあるようです。
ベスト 4×4  国産は作っていませんが、一部輸入品が入ってきています。白黒はまだしも、カラーでネガだポジだと贅沢はいえません。カメラがあるのなら別ですが、手を出さない方がよいと思います。二眼レフで『ベビー』と名が付くのがほとんどそうです。数が少ない割りにきれいで割安になっています。これも、
フィルムが内政です。
ボルダ 3×3 ×  裏紙の番号を見ながらフィルムを巻けるので簡単なカメラが作れます。国内では戦後のおもちゃのカメラを中心に使われましたが、今は多分ないのでしょうね。
ワンテン 110 × コダックが提唱した、カートリッジポンで誰でも使えて小さいカメラとして開発されたものです。確かに小さく、簡単に取れますから、一時的にかなりの数売れました。その頃は各社でフィルムも出ていましたが、原版サイズが小さく、安物カメラしか出てこないので、オリンパス・ペンに代表される、35mmの倍撮れて、まともなレンズのついたカメラの出現で押され気味になり、リコー・オートハーフみたいな自動巻上げとかのカメラに比べ、見劣りしたため、日本では早く姿を消しました。コダックはずっとフィルムを供給してきましたが、やめるとかやめたとかです。一山いくらで売っているカメラに混じっていますが、懐かしくて買ってもフィルムがありませんからそのつもりで・・・
APS × 世界中が協力してかいはつした『アドバンスド・フォト・システム』とか言う規格です。カートリッジに入ってフィルムポンでしたね。フィルムサイズも35mmに比べ対角線で1/1.6程度で小さくしました。『最高のフィルムを開発したから、35mm以上の写真です』と、おっしゃったのですが、その最高のフィルムを35mmに使えば・・・ですよね。フィルムも、35mmカメラは全部フィルムポンになりましたよね。早々、そうそう、この『フィルムポン』は35mmのフジののカメラかなんかのCMでしたね。
 結局は簡単なパトローネに入って、大量生産する35mmに勝つところがなく、原版の小さいデメリットが強調されて、半ば息の根が止まりかけています。
 この規格はカメラメーカーもかなり本腰で取り組んだ時期があり、まともな一眼レフもあります。
16mm ×  110カメラを更に小さくしたような形が多いですが、外国製等ではかなり精巧なものや、ピストル型下ものまでありました。ピストル型といってもおもちゃの  領域をはるかに超えた、高価・精密なものでしたが、所詮はマニア用の領域。スパイ用の領域に留まりました。16mm映画のフィルム自体が入手困難な時代です。
ミノックス版 ×  ミノックスという、高級なマニア用カメラの規格です。真似をしたカメラも多少出ましたが、今流通するのは本物ミノックスです。フィルムもマニア用にあるとは聞きますが、多分、目玉が飛び出るでしょうね。
これも実際にスパイが使ったといわれています。
620 × 120のフィルムとほぼ同じですが、巻き取り軸が随分細いです。
ブローニーを巻き変えて使えますが、素人の手を出すカメラではありません。スプリングカメラの輸入品にまれにあります。


 使えなくなっているカメラ   (水銀電池の廃止のため
  ご存知のように、カメラや時計に入っていた『水銀電池』は、その『水銀』ゆえに世界中で製造、販売禁止になっています。今のカメラは、ズームモーター・巻上げモーター・露出計・絞りモーター・シャッター制御とまさに電気の垂れ流しカメラです。従って、いくら長持ちでも水銀電池でまかなえるものではありません。
 ところが、今から、30年前ぐらいからは、露出計とそれを連動させる機能だけを電気に任せた時代がありました。
 その頃のカメラには、水銀電池がないまでは、使えない、もしくは使えても高く付くものがあります。
 水銀電池ほど小さくても起電力が大きく、長持ちするものはありません。同じに見える今のボタン電池は電圧がすぐに落ちるので、精密さを要求される露出計部門で不都合があります。
 中古カメラを買われるときは、きちんと確かめないと、自動露出が働かなかったりして、使えても使いにくいカメラになる時がありますよ。
 又、水銀電池に一番近い特性の電池は『空気電池』といわれるもので、補聴器などには小さなものが使われています。カメラのは、結構大きいですが、輸入品がたまに出ています。他の電池をアダプターで使えますが、カメラの調整が必要だったりしますが、古いのでほとんどメーカーでは扱いません。それと、寿命が短いので常に予備を持ち歩いて取り替える必要があります。
 手持ちにある場合は別にして、お金を出して買うのであれば、敬遠した方が良いですよ。