ENSIGN SELFIX 16-20
エンサイン セルフィックス
16−20

 ホートン(エンサイン)社 イギリス
 エンサイン セルフィックス 16−20 model 2   1952年

 レンズ ロス・エクスプレス ROSS EXPRESS 75mm 3.5〜22  5 feet〜∞
              シングルコーティング  フィルター32mmかぶせ
 シャッター エプシロン T B 1 〜300 シンクロX接点
 120フィルム 6*4.5 セミ判 二重露光防止機能付き赤窓(一つ穴)

 フレーム入りアルバタファインダー 610g

美しいフォルムのこじんまりしたセミ判カメラです。

 このカメラの最大の売りはそのレンズにあります。
 3群5枚と言う構成で、テッサーの変形とは言われますが、当時としては枚数も多く、その描写力には定評があります。
 私もこのレンズを使いたくて、エンサインの6*9機も820や同じレンズを持つ二眼レフのマイクロコードを物色していました。 しかし、どれも、これらのカメラは割高です。6*9判にはメダリストと言う切れ者が入ってきましたから、一番手ごろなセミ判にしました。
 このカメラの弱点はシャッターだと言われています。同時代のコンパーやプロンターのドイツ勢に比べ若干速度の精密さにかけるともいわれています。高速が遅いものが多いようです。これには個体差があるので、実物が来たらテストしたいと思います。

 軍艦部のフォルムも柔らかくきれいなカメラです。
 右の巻き上げノブとシャッターボタンとバランスをとるように左側に焦点深度を示すダイアルを配置しています。このノブはフィルム装填の時に持ち上がるということは無く、どちらかと言うとデザイン的な意味で付けられたものと思われます。
 スプールを解除する機能はそこの部分にあり、スプールを下に押すとボタンが出るようになっています。

 絞り表示は四角い枠を移動させるので分かりよいものですが、シャッター表示のマークが非常に小さく、老眼の私にはつらいものです。エナメルでポッチを咥えるとかしたいくらいです。
 巻き上げノブ周辺です。上の小さな窓は巻上げのインジケーターです。シャッターを切ると色が変わるのはどのカメラでも共通です。
 したの小さなボタンはシャッターボタンです。真ん中に小さな点が見えますが、これがこのカメラの最大の特徴で、フィルムの巻上げを行わないでシャッターを押すと真ん中のピンが引っ込まないで指をちくりと刺すシステムです。当初のボディレリーズ連結不良を直すと働くようになりました。
 二重写し防止はありますが、『巻いて無いよ』を積極的に言うのはこのカメラ位でしょうね。
 ちくりとしますが痛くありません。
 レリーズは調整次第でしょうが遊びが少なく、押しよい物です。

 遊びを減らしたからか、二重露光防止はシャッターをしっかりしたまで押さないと働きません。これは、イコンタにも若干見られます。シャッターがしっかり連結されないスプリングカメラの宿命かもしれません。
 時代がウェルタ・ペルレより新しいので、赤窓が一つになっています。
 セミ判が生まれてしばらくはセミ判様の番号が印刷されて居なかったので、窓を二つ開けて6*9の番号を二度ずつ使う方法で非常に紛らわしかったのですが、窓が一つになると6*6などと同じ感覚で使えます・
 アルバタ式ファインダーでもホートン社は接眼部のレンズの外側にこのように白い枠を引き、前のレンズに反射させることで、後年のブライトフレームのような感じで広い視野の中に実画面が表示される優れたファインダーを実現しています。
 この時代は逆ガリレオ式の小さなファインダーが多かっただけに出色ものです。
 ファインダーを開くボタンは前蓋と兼用になっています。
 細かいところでこったカメラです。

 ファインダーは結構凝っていますが、パララックス矯正は入っていません。ただ、このカメラは当時のカメラの最短撮影距離が3.5フィート程度なのに5フィートと随分離れています。目盛りの無いところまで廻しても4.8程度でしょうか。パララックも軽減されますね。
 ファインダーが真上なので矯正は楽です。
 エンサインはものすごい高級機と言うわけではないのですが、アイデアを一杯盛り込むのが好きらしく、裏蓋のヒンジも二重ヒンジを採用しています。
 裏蓋が素直に180度開きますが、ここまでしていないほかのカメラとの差は感じられません。

 当初よりボディレリーズが働かないとの説明のあるものですが、部品の不足は無く、伝導部分の狂いが原因でした。じっくり確かめて、取り付け部分を修正したらきちんとレリーズが働きました。それに警告装置も動きました。
 この時代までのスプリングカメラはレリーズをシャッター直付けにしたものが多いので、シャッター回りのトラブル回避は簡単です。
 試写まで完成するのは来月ですね。              2005/9/22 到着 9/24改訂