Angle & Trimming     

 写真はこのアングルとトリミングで画面が決まります。普通に立ったまま、人間を真ん中に・・・ 何となく物足りない・・・そうなんです。普通すぎるんです。子供を撮る時立ったままだと頭でっかちで寸詰まりになることもあります。使うレンズにもよります。シャッターを切る前にちょっと一工夫・・・それが仕上がりを大きく変えます。
 カメラを傾ける人が居ますが私は嫌いな方です。まぁ、たまには良いですが、『シャッターを切ってください』と渡されたカメラも傾けて・・・あれは止めましょうね。自分のだけにしましょう。嫌う人も居ますからね。
 
アングル
 普通の高さのほかにアングルは上からの鳥瞰と下からあおるのがあります。『下から』何て言うと、最近では「盗撮」のことか・・と言われそうですが、ワイドレンズでは常識的なアングルです。遠近感の強さもあって結構さまになりよいのです。間違っても、エスかレターとかに女の人が居る時はやらないで下さい。でも、エスカレーターの真下50cmくらいの場所で腹這いになって、21mmとかで撮ってみてください。普段のエレベーターが別物になります。これがローアングル・ワイドレンズの遊びの世界です。高さのアングルの違いはワイドレンズの方がはっきり出ます。
 次に、水平方向の変化・アングルは、正面、斜め、横、後の360度の変化があります。富士山も場所によって表情を変えます。美空ひばりは片側からしか撮らさなかったとか言います。同じ人でも人間の目以上に違いを切り取るからです。この二つのアングルを組み合わせると、同じものが表情を変えてくれます。フィルムもさほど高くない時代です、被写体の回りをぐるぐる廻ってみてください。写真は背広では撮れません。カメラマンらしく、汚い格好で歩いてください。最近は一寸きれいなカメラマンが増えたような気がします。

 トリミング
 トリミングは、出来上がった写真を切り取ることだけではなく、被写体をどう切り取るかと言うところから始まります。最初のトリミングが悪いと、暗室ではせいぜい余分なところを切り取るくらいしか出来ません。フィルムに写す時に考えられる最高の形に切り取ることが大切です。真ん中に入れて『パシャ』だと楽ですが、証明写真じゃないですから・・・
 顔は右1/3横顔、あとは空白・・・その方が生きて見えるものです。但し、オートフォーカスをそのままでやると、真ん中ははるか彼方の景色・・・当然ピントはそちらに合ってしまいます。『中抜け』です。二人で記念写真とっても、真ん中に隙間があると、人間はピンボケになるときがあります。自分のカメラはどの範囲の物を測ってピントを合わすのかを知らないと、失敗が増えます。大体のカメラはその目安がファインダーの中に小さな四角で示されています。割合と狭いものです。
 さて、元に戻って、1/3しか顔のアップがない時は、その四角を顔のあるところまでカメラを振って持ってきます。そしてシャッターをそーっと押してゆくと、途中でピントがあったサインが出るはずです。そこで、その微妙な押し加減のまま、元のアングルに戻します。そして、そのままもう一段押し込むとシャッターが落ちます。カメラによってその加減は違いますが、オートのカメラなら出来るようになっています。これが出来れば写真が変わります。記念写真でも人物を邪魔にならない端に入れて・・・ぜひチャレンジしてください。
 マニュアルの場合は距離計で合わせて振るか、一眼レフの場合は、決めたアングルのままで、ファインダーの端で合わせます。アップの場合でしたら合わせられると思います。カメラを振るときに起きる距離の差でのピントの甘い写真が減りますからね。
 風景はのっぺりしないように、なにかポイントになる近景を入れれば、様になります。木の枝は良く使われていますね。これも、やれば写真が変わります。
 もう一歩前

 これも中々出来ないのですが、超望遠以外は常に『もう一歩前』を心掛けてください。ズームで引き寄せれば済む・・のではなく、レンズをワイド側にズームアウトしてでも、一歩前をやれば、生きた写真が撮れます。
 私みたいにワイドレンズ大好きタイプは、一歩ではなく『張り付く』のです。19mmとかですと、風景でも前景に張り付かないと、出来た写真はノッペラボウです。パノラマにもならない写真が出来ます。望遠ではどうかというと、少し距離は離れたようでも、ファインダーの中では「張り付く」のです。気持ちの上で張り付かないと・・・
 カメラを持たせると人が変わって、恥ずかしくなくなるのが、カメラマンの特性です。あまり、良くない時もありますがね・・・
 しかし、その位のつもりで、食らい付いてみてください。写真が変わってきますよ。
これがワイドレンズで張り付いて下からあおった写真です。竹までの距離30cmほど、地べたに寝転がっています。ワイド19mmレンズの視界です。