WERRA  III
ウェラ 3型
(ヴェラ・ベラ)

 Werra 3
  カール ツァイス イエナ 
東ドイツ 1961年頃


 レンズ テッサー 50mm2.8 全玉交換式 
 シャッター プレストールRVS B 1 〜 750 ビハインド・ザ・シャッター 
 距離計連動 ワイド・標準・望遠各フレーム入り   584g

 この東ドイツ生まれのウェラと言うカメラはユニークでかわいらしいものです。共産圏の東ドイツ製とは思えません。なんといっても外観の特徴は上の写真のようにフードがレンズカバーになると言うことです。さらに機能面ではレンズの付け根の黒いリングを1/4回転もしないうちにフィルムが巻き上げられシャッターもチャージされます。おまけにこの型はレンズ交換まで出来ます。距離計の無い1型から露出計内蔵の4型などバリエーションも豊かです。一型のグリーンの外装のもののイメージが強いカメラです。この三型は比較的少ない方です。ウェラシリーズは1954〜1966年まで作られました。
 ドイツのカメラだけに名前の読み方がばらついています。本来ならWEヴェなのでしょうが、私は昔のカメラ雑誌にあったウェラを使っています。
 このカメラ、フードとキャップがあってこそのカメラです。これが揃っていないと鏡胴周りが貧相です。探す時は型式はどうでも、フードとキャップ付にしてください。

 これが撮影態勢になったスタイルです。
 フードを逆向きにかぶせて携帯するのでフードを忘れることも無く、きれいな写真が取れる条件は揃います。
 そして、そのレンズはテッサーコーティング付です。
 一見して普及機の感じですが実際は最高性能を誇るレンズシャッター機です。
 完動品なら旅行やお出かけのメインカメラになります。
 この型はファインダー部分が「目つながり」の飾りありものですが、このカバーが無くファインダーの穴だけ開いた初期のものもあります。
 コンパクトなレンジファインダー機にしては珍しく、視度調節機能があります。
 丸いアイピースを回転させると調節できます。
 私は最初覗いた時、少し見えにくいファインダーだなと思いましたが、アイピースがこの時代にしては珍しく丸いのでまわしてみました。すると、ファインダーの中に引かれたフレームもくっきり浮かび上がりました。
 アイディアの塊のカメラらしいところです。
 フレームは35mm、50mm、100mmの三種が書かれています。邪魔にはならないが細くて見にくいかもしれません。
 つるんとした外観の中で底面だけがごつくなっています。
 左側はフィルムカウンターです。手動のセットですがレチナのようにストップすることはありません。
 真ん中が三脚穴で周囲のリングを回して巻き戻しや裏蓋明けを行います。
 その下のV XMとあるのはセルフタイマーとシンクロ接点の切り替えです。接点はボディ右手側横にあります。握るのには少し邪魔ですが、接触不良は防ぎよいかも・・・
 右は巻き戻しノブでクランク式になっています。
上面から見た鏡胴部分
A・フィルム巻上げリング
B・シャッター速度表示B 1〜750
C・絞り表示兼変更リング
D・レンズ交換用リング
E・距離調節リング

 CのリングはBと連結されていて一緒に回ります。これをまわすと同じ露出で組み合わせだけが変わります。Cのリングに小さなポッチがありそれを押すと絞りリングだけが回って組合わせが変わります。
ライトバリューと同じ考えですがその値は書かれていません。
 鏡胴の下側

 ここにはフィルム感度をセットする目盛りがあります。
 ただ、この感度設定は特に働く様子がありません。これは露出計内蔵型と同じ部品を使っているためだと思います。露出計内蔵型ならここでセットした値が露出計に伝わるのだと思います。
 ウェラとオリンパス35S
 極普通の小型レンズシャッター機との比較です。
 横が短く高さが高いのですが、つるんとしたスタイルで単独で見ると小さく感じます。

 こうしたレンズシャッターでのレンズ交換機は、一眼レフ時代が確立するまで各種作られています。レチナのように後玉を残すものからこのカメラやミノルタなどのようにレンズ全体を取り替えようとするものまであります。このカメラはレンズ交換用の遮光シャッターまで備えています。
 フォクトレンダーのプロミネントは交換レンズも時々オークションにかかりますが、他のものはめったに出てきません。交換レンズもセットになったものがあれば購入のチャンスかと思います。おそらく私はレンズに巡り会うことは無いと思います。あっても本体よりはるかに高いでしょうから・・・