熊野古道
松本峠への里道

 松本峠は小さな峠です。町外れから山に入るまでの半分は段々畑や民家のあるところを登ります。
 昔の里の道が残っています。石垣には初夏の花『雪ノ下』が咲き乱れていました。
 振り返ると木々の間からは木本の町の甍が見えます。
 今は田畑も作られなくなったところが多く、通る人も少なくなってしまいました。
 入り口が階段であったおかげで、舗装されることもなく古の道そのままに残されました。

 道の上り口には顔もはっきりしなくなった『半跏像』の仏像が祭られています。いつの時代から旅人を見送り続けたのでしょうか。
 伊勢に向かう旅人はこれからの険しい道のりの安全を祈り、伊勢から来た人は今までの安全を感謝したことだと思います。ここより南は『神の国・熊野』です。