Minolta Auto Wide
ミノルタ・オートワイド

 ミノルタ オートワイド  1958年
   千代田光学精工 
ミノルタ

 レンズ ロッコール 35mm 2.8 〜22 4群6枚ガウスタイプ
 焦点 0.8 〜 10 ∞  1m 2.5m 5mにクリックあり
 シャッター  シチズン オプチバール  B 1〜500
 セレン露出計内蔵 LV6(f2.8 1/8) 〜 17(f16 1/500) 絞り、シャッターに連動
 レバーワンストローク巻上げ クランク式巻き戻し
 フィルムカウンター 順算式自動復元
 ファインダー 逆ガリレオ ブライトフレーム付
 重量  710g

 見かけは非常にすっきりしていますが、少々露出計が邪魔という感じです。
 スナップを重視したカメラなのでゾーンフォーカス用に 1m 2.5m 5m にクリックがあります。この距離も標準に比べ少しずつ近いところになっています。35mmレンズの画角では人物なども一歩前で撮りますからこの数字になるのでしょう。このクリックというものは被写体を見ながら手探りで距離をあわせるとか暗い時にはありがたいものです。

 上部
 右側に露出計の窓と針が見えます。ここで追針式に針を追いかけると露出が合うようになっています。こうして連動する露出計を組み込んだ最初のカメラなので『オート』を名乗っていますが、今ではこの程度ではオートとはいえませんね。ボディ右前の小さな四角は受光窓でその黒い部分にあるのがシャッターボタンです。非常に変わった滑り止めの付いた半円形のものです。

 枚数カウンターは左手側で拡大レンズ付です。
 底面
 巻き上げレバーはレチナCなどのように底面にあります。個人的にはあまり操作性が良いとは思えませんがこのカメラの場合A型で上にあったレバーが露出計に追い出されて下に来たのではないでしょうか。
 レバーの隣の丸いボタンををすと横のまき戻しクランクが跳ね起きてきます。同時にスプールが解除され巻き戻しが可能になる合理的な設計です。このボタンのあるのが後期型だそうです。
 背面
 接眼部はこの頃からこうした大きり覗きよいものが増えました。
 このカメラはワイドカメラなので当然のように倍率を低くしてあります。低いと言っても一時代前の標準レンズよりは大きなものでブライトフレームもあって非常に見よいものです。パララックスは自動補正ではなく近距離用のフレームがかかれたものです。
 ファインダー横の大きなダイアルを回して露出計の針を合わせます。二重ダイアルで操作のしよいものです。当時としては画期的だったのでしょうね。
 フィルム室
 フィルム室は底の部分も裏蓋と一緒に開く方式です。
 このカメラは巻き戻しノブがパトローネの上にないため軸を引っ張り上げてパトローネを取り出すことが出来ないからです。軍艦部をすっきりさせ、巻き戻しクランクも大きくした結果、裏蓋開閉も凝った物にならざるをえなかったのです。フィルムの圧着プレートも流行の凸凹付きのものです。
 全般にこうした内部までも実に丁寧に作られたカメラです。
 

 ライトバリュー・LV ・・・ 露出を簡単に数値化するために考案されたもので、このオートワイドの露出計では 6 から 17まで測れるようになっています。
 この数字は一つ大きくなると倍の明るさになります。明るさを 『11の125』などと言う絞りとシャッターの組み合わせで言うのではなく今のは『8の250』でも同じことですから、一つの数字にしようというものです。シャッターにこれが書かれていればとにかくその数字になるようにすればシャッターと絞りがどうあろうと露出だけはあっているということです。1950年代にこれを導入したカメラがかなり作られました。便利そうですが、露出はあっているがシャッターが1/15だったりするミスもあるし、その時代のカメラマンは絞りとシャッターの組み合わせで露出を考えることに不便は感じていませんでしたからあまり便利と思いませんでした。更に、レチナCなどのように絞りがロックされたりする不便さを嫌い結局普及しませんでした。LV式にすれば露出計もASAダイアルだけで針はライトバリュー直読できて安く作れるのですがね・・・消え去ってから何十年も経つ今ではライトバリューで言われても困ることが多いですね。
 ちなみに、普通に一番多いASA100の昼間の露出、 f11・1/125 くらいの明るさは LV14です。
 プログラムEEなどはこのLVの考え方で組み合わせを決めているわけです。
 1950年代のカメラには多く使われています。私に手持ちカメラではこのオートワイドほかにレチナ
2c、3c、ミノルタオートコードにはこれが使われています。

数値
シャッター 1 1/2 1/4 1/8 1/15 1/30 1/60 1/125 1/250 1/500
絞り 2 2.8 4 5.6 8 11 16 22

 ミノルタのカメラでは上のようにシャッター速度と絞りに番号が割り当てられています。これはおそらく世界共通とは思いますが、ライトバリューが14なら、上の表でシャッターの数字と絞りの数字を足して14にすればいいのです。つまり1/125なら数字はです。そうすると絞りの方もにすれば合計14になります。その7の絞りは11です。1/250の時はシャッターが8ですから絞りは6のf8となります。覚えれば簡単なのかもしれませんが・・・